Trash Basket Notebook
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満月
ビルの屋上から夜を見上げると、まるい月が輝いていた。
転落防止用の柵に近づき、それに背中を預ける。
止まっているようにしか見えないけど、動いている。
時間は見ることができないけれど、もし見ることができたら、きっとこんな風なのだろう。
まるい、金色の月が夜空を昇る。
ふと隣を見ると、柵の上に一匹のトカゲがいた。
同じように、月を見ているのだろうか?
…………
…………
気が付けば、夜中の2時。
月は、時の流れを証明するかのように位置を変え、あのトカゲはいなくなっていた。
やはり、時の流れはこんな感じなのだろう。
意識しなければあっという間に過ぎ去ってしまう。意識すればゆったりと流れている。
もう少しだけ、見ていたい。そう思った。

HDの中から掘り起こし、微修正して公開。
それにしても短いですね。Wordで29行……ページまで行ってないっす。
主人公の性別は不明。
それはそうと月って良いですよね。
(c) 2006 tanaka.